なんとなく扱いが難しそう、買ってもすき焼きにしか使わなそう。そんな風に思われがちな、南部鉄器のすき焼き鍋。最初はそう思っていた僕も、今やすき焼き鍋のヘビーユーザーに。
「すき焼き鍋」という名前だけで、すき焼き専属にするなんてもったいない!南部鉄器のすき焼き鍋を使い続けて7年の僕が、その魅力や使い続けて感じたことを書いてみたいと思います。
南部鉄器すき焼き鍋を7年使ってみて
いつものお肉が大変身!
僕が一番最初に南部鉄器のすき焼き鍋に出会ったときに感じたのが、この感想。それまではフッ素加工のすき焼き鍋を使っていたため、芯まで熱々なのに柔らかジューシーなお肉の仕上がりに、それはそれは驚きました。
その後、興味本位からチキンステーキやポークソテー、ハンバーグなどを作ってみることに。当時はすでにフライパンを鉄板製のものに変えていたため、同じ鉄という素材からできた違う性質の鍋の比較をしてみたいと思ったのです。
あくまでも僕の感覚としてですが、鉄のフライパンは表面から熱をどんどん中へと伝えるといったイメージ。ですから、表面こんがり、中ジューシーといった仕上がりになります。
いっぽう南部鉄器のすき焼き鍋は、熱の塊が食材の芯まで届くようなイメージ。表面の香ばしさやカリッとした食感よりも、芯まで熱々、ふんわりふっくらとした印象が際立つ仕上がりとなります。
もうこれは、優劣なんてつけられない。鉄のフライパンには鉄板の良さが、南部鉄器のすき焼き鍋には鉄鋳物の良さがあるのです。同じメニューでも、そのとき食べたい仕上がりに合わせ気分で選べる。鉄板と鋳鉄の両方を持っていれば、そんな贅沢も許されてしまうのです。
とにかく汎用性が高い
これは南部鉄器すき焼き鍋の魅力の記事にも書きましたが、とにかくいろいろな場面で使えるのです。
まずは、シチューや煮込みハンバーグといった煮込み料理。具材を炒める、焼くという工程からその後の煮込みまで、ひとつの鍋でこなしてしまう優れもの。厚みがあり蓄熱性が高いため、根菜類も比較的短時間で煮崩れせずほっくりと仕上がります。
つづいては、ローストビーフやグラタンといったオーブン料理。これも焼く、炒めるといった下ごしらえからオーブンへと直行。これは長い柄の付いていないすき焼き鍋だからこそできる芸当。スキレットだと柄の長さがあるので、大きいものは家庭用のオーブンには入りません。
さらにはお好み焼きや焼肉、ホットケーキといったホットプレート料理まで。わざわざ専用のホットプレートを買わなくても、すき焼き鍋さえあれば代用できるうえに仕上がりもおいしくなるのだから言うことありません。
煮込み鍋にスキレット、耐熱皿にホットプレート。それぞれをそろえようとすると金額も収納場所もそこそこ必要になりますが、南部鉄器のすき焼き鍋がひとつあればいろいろ兼用できてしまう。ちょっと視点を変えるだけで、一台何役もこなしてくれる優れものなのです。
ある程度の大きさ、深さがあると便利
いざ南部鉄器のすき焼き鍋を買おうとすると、様々なサイズや深さがありいろいろと迷ってしまうもの。もちろん収納場所などの問題もあるでしょうが、ある程度の大きさと深さがあるものを僕はおすすめします。
まずは大きさ。ひとり鍋用のかなり小型なものも売っていますが、すき焼きという料理の特性上、大きい鍋でもきちんと1人前を作れます。それどころか、小さすぎると肉1枚焼けばいっぱいになり、他の脇役を入れるスペースも取れません。
また、すき焼き以外の上に書いたような使い方をしようと思えば、ある程度の大きさはやっぱり必要。大は小を兼ねない鍋もある中で、すき焼き鍋に関しては大は小を兼ねるのです。
つづいては深さについて。中には本当に極浅いものを見かけることがあります。しょう油と砂糖で作る関西風のすき焼きならば問題ありませんが、割り下を使う関東風だとちょっと使いにくいかも。ある程度の煮汁がないと、脇役に味を染み込ませることはできません。
また、上のように煮込み料理やグラタン等を作ろうと思うと、やはりある程度の深さが必要。収納場所の高さや全体の重量の問題を除けば、浅くて困ることはあっても深くて困ることはないように思えます。
小さすぎると対応人数や用途が限られるし、深さがないと油跳ねも多くなりすき焼き以外に使いづらくなってしまう。家の収納場所や予算と相談しつつ、大きさや深さのバランスがしっくりくるものを選ぶといいかと思います。
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後片付けが本当にラク
これも以前の記事で触れましたが、コンロまわりや食卓の後片付けが本当に簡単に済んでしまうのです。
すき焼きにしても、焼肉にしても、食卓でやるとどうしてもまわりに油が跳ねてしまいます。コンロで使うにしても、またしかり。
南部鉄器も、やはり油は飛ぶことは飛びます。ですが油が玉の状態で跳ねるのではなく、細かい粒子となって飛ぶのでふき取りが本当にラク。1、2回程度水拭きすれば、油汚れはあっという間に消えてしまいます。
後片付けが簡単かどうかって、本当に大切。いくらおいしく楽しく料理ができても、片付けが大変ならどうしても使用頻度が減ってしまいます。一見豪快に汚れるように見えても、実は簡単にきれいにできる。だからこそ、頻繁に使いたくなるのです。
多少の油残りは気にしない
これが鉄板製品と比べて大きく違う点。鉄の中華鍋やフライパンから、鉄製品を使いはじめた僕。どちらも洗剤を使わずともしっかり油が取れていたので、南部鉄器のすき焼き鍋を使いはじめた当初は油分が残ってしまうのが気になりました。
ですが使い続けていくうちに、これが南部鉄器の特性なのだろうと思うように。鍋肌の細かい凹凸に油が入り込み、錆びから守りくっつきにくくしてくれる。これがいわゆる油なじみというものなのだと納得しました。
鉄のフライパンは、毎回多めの油を使って調理をします。ですが南部鉄器で作るメニューはそうとも限りません。この油なじみが、少なめの油でも快適に調理できる鍵なのだと今では実感しています。
汚れや油分は落としきりたい。長年刷り込まれてきた概念を変えるのには少々時間がかかりましたが、南部鉄器と付き合っていくには油と仲よくなることも大事だと思うようになりました。
何度も言いますが、「すき焼き鍋」とはすき焼き専用にあらず。スキレット、餃子鍋、ホットプレートに煮込み鍋。なんでも活用できるこの鍋は、もう名前を変えたほうがいいのではないかとすら思えるほど。
鉄鋳物の鍋のよさを感じたければ、まずはすき焼き鍋をひとつ手に入れてみるといいかもしれません。それをいろいろな形で使ってみて、自分に合うと思えば他の鍋も買ってみる。お値段も手ごろで汎用性にすぐれた南部鉄器のすき焼き鍋、本当に本当におすすめです。
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