育てる、湯垢、丁寧なくらし・・・。南部鉄器の鉄瓶を買おうと調べてみると、思わずグッとハードルが上がるような内容を数多く目にします。
僕も最初は思いきり構えてしまいましたが、いざ使ってみるとお手入れなんて有って無いようなもの。沸かして、移して、乾かすだけ。要約してしまえば、ただそれだけ。そんな簡単な鉄瓶のお手入れを、6年間使い続けてきた僕がお伝えしたいと思います。
意外と簡単！南部鉄器鉄瓶のお手入れ
絶対に洗わない
使い方の記事にも書きましたが、鉄瓶の内側には錆を防ぐ特殊な加工が施されています。その被膜は薄く繊細なものなので、内側を触ったり洗剤で洗ったりするのは厳禁。
もっとも、お湯を沸かすことだけに使用するという鉄瓶の使い方では、洗剤で洗わなければいけないような状況になることはまずないはず。内側には絶対に触れずに放っておく。必要なのは、ほったらかしにする勇気だけです。
使用後は余熱で乾かす
内側に水分が残っていると、それが錆びの原因となります。幸い、南部鉄器はとても蓄熱性が高いことが特長。お湯を沸かしたらポットへ移し、ふたを開けて置いておく。基本的にはそうするだけで、余熱でしっかり水分が飛んでくれます。
ただし、軽くするために肉厚を薄くした製品や、熱源の違いにより余熱の残り方も変わってきます。ふたを開けたまましばらく放置してみて、それでも水分が残っているようならば少しだけ空焚きし内側をしっかり乾燥させてください。
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長時間空焚きしてしまったら？
先ほど、内部に水気が残っているようならば少しだけ空焚きしましょう、と書きました。そこで問題なのが、何かしらの原因で長い時間空焚きしすぎてしまった場合。過度の空焚きは錆につながるので、思わず水を入れて冷やしたいと考えてしまうかもしれません。
ですが、南部鉄器をはじめとする鋳物鉄にとっては衝撃や急激な温度差は厳禁。カンカンに熱くなったところへ水を入れてしまうと、温度差で割れてしまったり、大量の水蒸気が上がってやけどしたりといいことなし。
万が一空焚きしすぎてしまったら、火を止めて鉄瓶が冷めるまで放置してください。その後お湯を沸かしてみて、赤くなったり錆の味がするなどの金気が出ていなければ大丈夫。もし金気が出てしまったら、お茶を煮出すなどメーカー推奨の方法で対処してみてください。
外側の水濡れは熱いうちに拭く
外側の水分も、大抵のものは余熱で乾いてくれます。ですが、つるの付け根や注ぎ口の根本など、意外と水分が溜まりやすい場所も。ですから、使用後は熱いうちにふきんで全体をさっと拭く。これを習慣づけておけば錆も汚れも防げ、一石二鳥です。
外のつや出し、防錆にはお茶を活用
やかんと違い、常に外に出しておいても不格好にならないのが鉄瓶のいいところ。でも表面が荒れて白っぽくなっていたり、赤く錆びていたりでは逆効果。鉄瓶のもつ良い佇まいを活かすことはできません。
そこで活躍するのが、お茶やお茶ガラ。布にお茶を含ませたり、お茶ガラを包んだり。お茶パックを使っている場合は、軽く絞るだけ。それらで使用後のまだ熱い鉄瓶の外側を拭いてやるとお茶の成分と反応し、黒々とした色合いと輝きが次第に定着していきます。
その際に注意するのが、拭いたときに付いた水分が残らないようにすること。余熱で乾く場合は大丈夫ですが、水気が残るようなら軽く空焚きしてください。せっかく手入れしても、それが原因で錆びてはもったいないですからね。
要するに、洗ったり余計なことはせず、使ったらふたを開けたまましっかり乾燥させてね、というだけのこと。正直僕なんて、最後に書いたお茶を使った手入れなど、年に数回やるかやらないか。どうしても必要な手入れなんて、錆びさえ発生させなければありません。
肝心なのは、お手入れの方法ではなく、「錆びさせない」ということ。使用後水気を残さないようにだけ気をつければ、そんなに難しいことはありません。
使って放置で、おいしいお湯が毎日味わえる。手を掛けようと思えば掛けられますが、錆びなければほったらかしで全然元気。神経質なイメージをもたれがちな鉄瓶ですが、じつはズボラさん向きでもあったりするのです。適当に使い続けて6年間。僕でも使える鉄瓶を、ひとつ試してみませんか？
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